植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

A03 公募研究:『植物細胞場』解析技術開発

発光を用いた植物環境センサーとイメージング技術の開発

研究代表者 綿引 雅昭 北海道大学大学大学院理学研究院・准教授 研究代表者ホームページ

研究概要

 高等陸上植物は環境情報を統合しながら、後生的に形態形成を行っている。さらに固着性である植物は、恒常的に重力や光などベクトルを持った環境情報を統合し、根は地下部、茎は地上部へと成長させている。本研究課題はこのような異なる環境刺激の受容が細胞場で情報統合され,共通した生理作用に帰結する過程の解明を目指す。そのための技術的基盤と基礎理論構築を行う。  
 遺伝子発現はさまざまなレポーター遺伝子によって空間的に可視化することができるが、生物発光法は暗黒下での観察を可能にする唯一の方法であり、重力応答と光応答の観察に最も適していると考えられる。そのような生物発光をシロイヌナズナの早期オーキシン誘導性遺伝子AUX/IAA19に適用することで、外性オーキシンや重力刺激による内生オーキシンの変動を可視化することに成功した。  
 本研究では1、植物が重力や光刺激でオーキシンを介した偏差成長を行う過程で変動する遺伝子発現をルシフェラーゼで可視化し、発現量と屈曲の相関関係を明らかにする。2、光照射による複数種類の光レセプター励起を回避するため、暗黒下で光レセプターを直接活性化する方法を開発し、その信号伝達経路の解明と重力応答との情報統合メカニズムを明らかにする。  
 このようなイメージング技術の開発が、植物細胞の環境感覚を遺伝子発現レベルで時空間的に可視化し、物言わぬ植物の内的言動を明らかにしたいと考えている。さらに、本研究成果で植物の環境情報統合メカニズムを明らかにできたのちは、植物形態からの環境情報の回収、逆に環境情報の操作によって目的にあった形態を任意に作り出すことに貢献すると考えられる。

図:概略図

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