植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

A02 公募研究:受容体・細胞応答機構

光合成環境感覚としての原型プラスチドシグナル

研究代表者 田中 寛 東京工業大学資源化学研究所・教授 研究代表者ホームページ
連携研究者 望月 伸悦 京都大学大学院理学研究科・助教
華岡 光正 千葉大学大学院園芸学研究科・准教授

研究概要

 葉緑体の起源は古代シアノバクテリアの細胞内共生に求められるが、この出来事は植物の起源と相等しく、植物の光環境感覚の大本はこの際に葉緑体を中心に構築された。光合成は葉緑体の機能であり、少なくとも当初、シアノバクテリア由来の光合成機能を守る環境応答は、葉緑体で完結していたはずである。しかし、次第に遺伝子が核に移動することで、光合成(葉緑体)と遺伝子発現(核)の場の連携を取る必要が生じ、葉緑体から核への情報伝達系“プラスチドシグナル”が進化したと考えられる。高等植物では、このプラスチドシグナルには遺伝学的、生理学的な解析からテトラピロール分子(Mg-Protoporphyrin IX(MgP)など)やアブシジン酸(ABA)の関与が示唆されているが、その複雑さからその全貌には不明な点が多い。
 本研究では、細胞共生起源に近い葉緑体をもつ単細胞藻類“シゾン”を材料に、光合成に関わる葉緑体環境感覚の原型を明らかにすることを目的とする。これまでの研究で、シゾン葉緑体で合成されるMgPが核DNA複製を制御することが明らかになっている。さらに、シゾンゲノムにはABA合成遺伝子がコードされており、実際に内生ABAが存在すること。そしてABAの添加により細胞周期の開始が阻害されることも明らかになっている(未発表)。これらの知見は、MgPとABAの関わるプラスチドシグナルの進化的な保存を強く示唆するものと考えることができるだろう。本研究ではシゾンにおけるこれらシグナル分子の生理的役割やシグナル伝達機構の解明を中心に、光合成機能の構築・維持に関わる光合成「環境感覚」の理解を目指す。

図:概要図

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