植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

A01 公募研究:個別刺激応答機

細胞内レドックス変化に対する植物応答機構の解明

研究代表者 多田 安臣 香川大学総合生命科学研究センター・准教授 研究代表者ホームページ

研究概要

 植物は、あらゆる環境刺激に応じて細胞内酸化還元状態(レドックス)を変移させ、適切な生理・生化学的反応を誘導する。レドックスシグナルに関与する活性酸素種(ROS)や活性窒素種(RNS)の生理機能に関する知見が増える一方で、植物のレドックス認識機構と、それに続く遺伝子発現制御機構は殆ど明らかになっていない。
 我々はこれまでに、植物病害抵抗性の鍵転写コアクチベーターであるNPR1が、レドックス変移に応じてS-ニトロシル化され、活性化することを明らかにした。そこで本研究では、転写制御因子に着目し、S-ニトロシル化やS-グルタチオン化といったタンパク質翻訳後修飾によるレドックス認識機構について調査する。特に、サリチル酸、ジャスモン酸やアブシジン酸をはじめとした植物ホルモンの機能発現は、一酸化窒素やROSが重要な役割を担っているので、これらホルモンにより誘導される全ての転写制御因子タンパク質を用い、S-ニトロシル化及びS-グルタチオン化感受性について検討する。
 レドックス感受性の転写因子に関しては、質量分析計を用いて修飾される標的システイン残基を同定し、同修飾が転写因子のコンフォメーション、標的プロモーター結合能及びNPR1等の主要転写制御因子との結合能に与える影響を検討する。さらに、レドックス非感受化突然変異を導入した植物体を作出し、当該転写因子が有するレドックス認識能力が各環境刺激応答に関し、どのような役割を担っているかを明らかにする。本研究により、環境感知因子としての転写因子群を同定・特徴づけ、植物の環境感覚理解のための分子基盤の構築を目指す。

図:概要図

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