A02 公募研究:受容体・細胞応答機構
細胞膜受容体の小胞体品質管理を介した花粉成熟過程のストレス耐性機構の解析
研究代表者 | 西川 周一 | 新潟大学自然科学系・教授 | ![]() |
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研究概要
分泌タンパク質などの合成の場である小胞体では、新生タンパク質が高濃度で蓄積しており、細胞への様々なストレスによって、高次構造形成に失敗した不良品である「異常タンパク質」が生じる。小胞体の品質管理機構は、小胞体で生じた異常タンパク質を認識・除去することで、細胞や個体の恒常性維持に重要な役割をはたしている。この小胞体品質管理機構で中心となるのが、小胞体内腔の分子シャペロンである。われわれは、小胞体分子シャペロンに関するシロイヌナズナ変異株の中に、温度ストレス下で栽培すると不稔となるものがあることを見いだした。
昨年度までの解析によって、これは葯の発達過程で機能する細胞膜の受容体キナーゼの細胞膜輸送の欠損によることが明らかとなった。葯の発達・成熟過程では数種類の受容体キナーゼが異なる過程で機能する。これまでの解析によって、受容体キナーゼの小胞体品質管理では、品質管理装置である分子シャペロンとクライアントである受容体キナーゼの双方に特異性があることが示唆されている。本研究では、受容体キナーゼに着目した解析によって、ストレス下での花粉成熟における小胞体分子シャペロンの役割を明らかにするとともに、小胞体品質管理装置による受容体キナーゼの認識と機能発現の特異性の解明を目指す。

図:概要図