A02 公募研究:受容体・細胞応答機構
シロイヌナズナの機械刺激受容体の構造と機能
研究代表者 | 飯田 秀利 | 東京学芸大学教育学部・教授 | ![]() |
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連携研究者 | 三浦 謙治 | 筑波大学生命環境系・准教授 |
研究概要
モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、接触、重力、浸透圧などを感受する機械受容性Ca2+チャネル活性をもつMCA1とMCA2を中核とした、植物の機械刺激受容体の解明、およびその活性化によって発生するCa2+シグナル伝達経路の全体像を明らかにする。MCA1とMCA2はアミノ酸配列上73%同一であり、全長にわって既知のイオンチャネルと相同性のない新規の膜タンパク質である。本研究では以下の項目に焦点を絞り、研究を推進する。
(1) MCA1とMCA2は新規の機械受容性Ca2+チャネルであることを分子生物学的および電気生理学的に証明する。具体的には、(i)MCA1とMCA2の分子内でCa2+を通すための膜貫通領域を遺伝子改変法で特定し、(ii)その領域内のCa2+選択性に関与すると予想されるアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換し、その活性変化を電気生理学的に調べる。
(2) MCA1とMCA2の膜トポロジーを決定する。この決定は、他のタンパク質によるMCA1とMCA2の活性制御のメカニズムを知るために不可欠である。
(3) 酵母発現系を利用して、MCA1とMCA2の各モチーフの機能を明らかにする。
(4) MCA1および(または)MCA2と物理的に相互作用するタンパク質を特定し、機械受容性Ca2+チャネルを中核とした機械刺激受容体の全体像を、プロテオーム解析により明らかにする。
(5) (1)と(3)の実験で作製した変異型MCA1とMCA2をシロイヌナズナに発現させ、それぞれのトランスジェニック植物の表現型を調べる。これにより、各モチーフの生理機能を明らかにする。
(6) MCA1とMCA2から発生するCa2+シグナルの制御下にあるシグナル伝達経路を、トランスクリプトーム解析により明らかにする。

図:概略図