A02 公募研究:受容体・細胞応答機構
RNA顆粒Pボディーを介した環境応答
研究代表者 | 渡邊 雄一郎 | 東京大学大学院総合文化研究科・教授 | ![]() |
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連携研究者 | 濱田 隆宏 | 東京大学大学院総合文化研究科・助教 |
研究概要
細胞質内で1-2 μmの大きさとして観察され、多く国外の研究者によって注目されているP-ボディーとよばれる構造体に注目する。植物が種々のストレスにさらされた際などの環境応答に関連しているといわれている。P-ボディーが環境変化を受容する構造であり、種々の適応・応答過程への関与を解析する。そのマーカーは、真核生物mRNA5’末端に存在するキャップ構造をはずす活性をもつ脱キャップ酵素(decappping
enzyme; DCP)1あるいは2サブユニットである。 dcp1変異をPDCP1::DCP1:GFP遺伝子で相補した形質転換体シロイヌナズナを昨年構築し、根端組織や花粉においてDCP1:GFPが生きたまま観察できることを確認している。この植物体をもちいながらP-ボディーに注目して受容、種々の環境応答、受容における機能解析を行う。
一方で、P-ボディーは種々のmRNAに作用し、翻訳制御、RNAサイレンシング現象に関与するといわれている。nonsense mediated
mRNA decay (NMD)と呼ばれる品質管理機構が働いて、そのmRNAが分解される現象を我々は植物で見いだし、この機構に関与するUPF3というタンパク質もやはりこのP-ボディーに共局在していることを確認している。このように細胞内のmRNAが関与する種々の現象に関与する事が示唆されており、環境応答の反応との関連性を明らかとしていく。P-ボディーを舞台にその場に存在するmRNAの情報発現との関係から植物の応答機構を考察する。

図:概略図