A02 公募研究:受容体・細胞応答機構
環境ストレス応答におけるポストゴルジオルガネラのダイナミクスと生理的意義の解明
研究代表者 | 植村 知博 | 東京大学大学院理学系研究科・助教 | ![]() |
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連携研究者 | 上田 貴志 | 東京大学大学院理学系研究科・准教授 | |
島田 貴士 | 東京大学大学院理学系研究科・特任研究員 |
研究概要
真核細胞内の単膜系オルガネラ間の物質輸送は、膜小胞や細管を介したダイナミックな輸送システム「膜交通」によって厳密に制御されている。膜交通は、タンパク質などを細胞内の正しい場所へと輸送するために必須の機構であり、細胞の多様な機能を発現するうえでも重要な役割を果たしている。植物は、様々な外部環境の変化に対して“動いてその場を逃げる”という手段が使えないため、細胞レベルで柔軟にこれに対応しなければならない。そのため、動物や酵母と比較しポストゴルジ膜交通網を独自に発達させ、外部環境を最初に受容するインターフェイスとして機能する細胞壁や細胞膜の構築や維持をはじめとする植物独自の細胞構造や細胞機能を構築してきたと考えられる。
我々の研究グループは、様々な外部環境刺激(環境ストレス)に対し、膜交通とポストゴルジオルガネラが重要な役割を果たしていることをこれまでに報告してきた。しかしながら、その分子機構の多くは未解明であり、環境ストレスとオルガネラ機能を結びつける因子の同定もほとんどなされていない。そこで本研究では、高塩ストレス(非生物学的ストレス)とうどんこ病菌感染(生物学的ストレス)を外部環境刺激のモデルとして用い、環境ストレスに対するポストゴルジオルガネラのダイナミクスを、ライブイメージングにより徹底的に明らかにする。また、外部環境刺激の「受容」や刺激に対する「応答」と膜交通の接点で機能する因子を、膜交通関連変異体の外部環境刺激への応答を詳細に調べることにより探索する。これにより、ポストゴルジ膜交通の環境刺激応答における役割を明らかにすることを目指す。

図:概略図