植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

A02 公募研究:受容体・細胞応答機構

環境感覚により誘導される植物細胞死のオートファジーによる制御機構の解明

研究代表者 森安 裕二 埼玉大学大学院理工学研究科・教授 研究代表者ホームページ
連携研究者 金子 康子 埼玉大学教育学部・教授
井上 悠子 埼玉大学大学院理工学研究科・助教

研究概要

 オートファジーは細胞質の一部が液胞やリソソームで分解される現象であり、細胞が栄養飢餓を感知して引き起こす応答の一つです。その主たる生理機能は、栄養飢餓時の細胞内栄養調達ですが、最近、オートファジーは栄養調達以外の様々な生理現象に関与していることがわかってきています。
 酵母や哺乳動物細胞におけるオートファジーは、細胞質の一部がまず新規の膜構造によって隔離されオートファゴソームというオルガネラが形成された後、オートファゴソームがリソソーム(または液胞)と融合することでプロテアーゼなどの加水分解酵素を獲得してオートリソソームに変換し、最後にオートリソソーム(または液胞)内で隔離された細胞質が分解されるという過程で進行します。 それに対して、植物細胞におけるオートファジーの経路にはまだ不明な点が残っています。  
 私たちはこれまで、主にタバコ培養細胞を材料に用いて、オートファジーの解析を行ってきました。栄養培地で培養していた細胞をショ糖を欠いた培地に移すと、オートファジーによるダイナミックなタンパク質分解が起き、2日間で細胞内タンパク質は約50%に低下します。このとき、培地にシステインプロテアーゼ阻害剤E-64を入れると、細胞内タンパク質分解が阻害されるのと同時に、細胞質未分解物を蓄えたオートリソソームが細胞内に多数蓄積します。この際、液胞の中には細胞質未分解物は観察されません。これらのことは、オートファジーにおける分解の場はリソソームであり液胞ではないことを示しています。
 現在、オートファゴソームはどこでどのように加水分解酵素を獲得してオートリソソームに変換するのかを明らかにするために実験を進めています。

図:オートファゴソーム(AP)がオートリソソーム(AL)に変化する2つの可能性を考えています。
左:APが液胞から出芽した膜小胞と融合してALになる。
右:APが液胞に一時的に接触することにより加水分解酵素を獲得してALになる。

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