植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

A01 公募研究:個別刺激応答機

二酸化炭素のセンシングと光合成制御機構の解明

研究代表者 福澤 秀哉 京都大学大学院生命科学研究科・教授 研究代表者ホームページ
共同研究者 山野 隆志 京都大学大学院生命科学研究科・助教
梶川 昌孝 京都大学大学院生命科学研究科・助教

研究概要

光合成で生育する植物にとって,刻々と変化する環境に応じて光合成を維持する事は生存に欠かない。そのためには、環境刺激を受容する機構が必要である。CO2濃縮機構をもち,変異株の単離や遺伝子の同定が容易な緑藻クラミドモナスは,植物のCO2応答の分子機構を研究する上で優れたモデル生物である。我々はこの緑藻を用いて,CO2応答に関わるシグナル伝達機構を解明し、高等植物のCO2応答機構と比較することで,植物のCO2環境応答の原理と進化的意義を解明しようとしている。
既に我々がCO2応答のマスター制御因子として同定したCCM1(図1)は,細胞内で複合体を形成しているが,その構成成分や修飾について明らかになれば,CO2濃度の変動に応じたCCM1自身の変化(例えば,リン酸化やその他の修飾)や,複合体構成因子の変化が見つかる可能性がある。既に複数の複合体構成因子をLC-MS/MS分析によって同定しており,その挙動を解析する。さらに,細胞中のC/NバランスがCO2応答反応に影響を与える可能性や,酸素濃度や細胞内の酸化還元状態がCO2応答に関わる可能性を明らかにする。
CO2欠乏条件で発現が誘導されるタンパク質LCIBは,CO2濃縮に必須である。このLCIBは,CO2濃度の低下によりピレノイドに集合し,上昇によってピレノイドから離反して葉緑体に分散する(図2)。このCO2に依存したLCIBの集合は光に依存している。このLCIBの移動機構を解明することで,細胞の環境応答に関わる葉緑体内因子を同定する。その為にまず,高効率の形質転換系を確立し,多数のタギング変異株(CO2環境の変動に順化できない株)を単離する予定である。さらに,CO2応答と他の環境応答(光,N源, S源,温度)との間のクロストークを,ゲノム発現データベースKyoto Chlamydomonas Genome Database(KCGD)を構築して,トランスクリプトームのレベルで解析する。 (http://chlamy.pmb.lif.kyoto-u.ac.jp/)。

図:概念図

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