A01 公募研究:個別刺激応答機
光屈性を誘導するフォトトロピンシグナル伝達経路の解析
研究代表者 | 酒井 達也 | 新潟大学大学院自然科学研究科・准教授 | ![]() |
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連携研究者 | 芳賀 健 | 新潟大学大学院自然科学研究科・研究員 |
研究概要
植物の成長制御は光に強く依存している。植物が光の質・量・方向を認識し成長方向を制御する現象を光屈性という。光屈性は、植物ホルモン・オーキシンの不等分布による細胞の伸長の差が偏差成長によっておきる現象と考えられており、オーキシン調節による植物の成長制御機構のモデルの一つとして研究されている。しかしながら、オーキシン不等分布を作り出すと考えられているオーキシン輸送体の実際の機能はほとんど明らかになっておらず、光屈性を誘導する光受容体フォトトロピンのシグナル伝達経路研究も進んでいない。
本研究は主に光屈性におけるオーキシン調節の分子機構を、シロイヌナズナの分子遺伝学的手法を用いて明らかにすることを目的として行う。最近の我々の研究結果は、オーキシン輸送体の光屈性における機能とその限界について示唆する結果を得ている。本研究によって、光屈性に働くオーキシン輸送体の機能分担様式と、フォトトロピンによる機能制御機構を明らかにする。さらにオーキシン輸送制御とは異なる未知の光屈性制御機構を探索すべく、新たな光屈性制御因子の遺伝学的手法を用いた探索を行う。本研究によって、環境感覚に基づく植物の屈性応答機構、さらにフォトトロピンが制御する光環境感覚の分子機構の解明に貢献する。

図:概要図