A01 公募研究:個別刺激応答機
低温シグナル伝達因子ICE1の調節及びカルシウムチャネルによる低温感覚機構
研究代表者 | 三浦 謙治 | 筑波大学生命環境系・准教授 |
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連携研究者 | 飯田 秀利 | 東京学芸大学教育学部・教授 | |
柴 博史 | 筑波大学生命環境系・教授 |
研究概要
低温シグナルにおいてICE1は最上位に位置する転写因子であるが、ICE1の活性化及びセンサーに関してはほとんど分かっていない。植物が低温を受けるとカルシウムの放出が見られ、カルシウム放出に関わる因子がセンサーとしての役割があると考えられている。
これまでに申請者はICE1と相互作用するタンパク質を酵母2ハイブリッドスクリーニングにより単離してきた。その中には活性化機構に関わると考えられるキナーゼやカルシウムの認識に関わると考えられるカルシウム結合タンパク質が含まれる。本研究では以下のことを目的として研究を行う。
1つ目として、カルシウム放出に関わる因子を同定し、センサーとしての役割をもつかを明らかにする。また、カルシウム放出によるシグナルをカルシウム結合タンパク質が認識してICE1へとシグナルを伝達する一連の機能を明らかにすることを目的とする。この研究により、低温の感知という最初のポイントから低温ストレス応答というアウトプットまでのシグナル伝達経路が明らかになると期待される。2つ目としてICE1と相互作用するキナーゼが実際にICE1のリン酸化及び活性化に関わるかを明らかにすることを目的とする。また、リン酸化部位の特定及びリン酸化のカルシウムイオン依存性を明らかにすることで、ICE1活性化機構の詳細を解明することに繋がる。これらの研究を通して低温ストレス時における包括的なシグナル伝達機構の解明のみならず、低温ストレスへの感覚機構を明らかにすることを目的とする。

図:温度刺激に対する応答機構解明の概略図